研究概要 |
動物細胞の有糸分裂における微小管の役割の中で分裂中心としての中心体を取上げ以下の研究成果を得た。 1)ウニ卵細胞の分裂装置から中心体を分離し、精製ブタ脳チューブリンを添加して、in vitroでの星状体形成システムを確立した。この系を用いて、星状体形成に及ぼすGDP,GTP,及びGTP非水解アナログのGTP-γS、GMP-PNPの効果を調べた。その結果、GTP,GTP-γS,GMP-PNPは星状体形成を促進するが、GDPは阻害することが明らかになった。 2)51-kDa Gタンパク質の機能調節に関わるタンパク質を検出するために51-kDaタンパク質モノクローン抗体カラムを作成し、これに51-kDaタンパク質を結合させ、さらに51-kDaタンパク質と結合する蛋白性因子を捕まえる計画を立てた。その結果、幾つかのタンパク質が検出された中で、45K/30K複合体は、51-kDaタンパク質のGTPに対する親和性を高める作用があることが証明された。 3)紡錘体微小管には極性があり、中心体に結合する末端が(-)端であることが知られている。そこで、微小管の(-)端にGタンパク質が結合することを予想してGタンパク質を反応させ、ついで、抗Gタンパク質抗体による染色をしたところ、微小管の全表面が蛍光染色されることが明らかになった。また、精製チューブリンヘテロ二量体とともに精子軸糸タブレット微小管とGタンパク質を反応させ、zerolengthの架橋剤(EDAC)で架橋反応させた後、SDS-PAGEで分析したところ、α-チューブリンが選択的にGタンパク質と結合することが明らかになった。 4)中心体モデルシステムの確立:51-kDaタンパク質以外の成分を同定し、その分子機能を明らかにするためには、モデルシステムの開発が必須である。そのために、ラテックスビーズを用い、その表面をGタンパク質分画でコートし、チューブリン添加による星状体形成を行わせる条件を設定し、モデル系を確立した。
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