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1995 年度 実績報告書

中枢神経系の発生と細胞分化過程における神経系特異的RNA結合蛋白質の役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 06454684
研究機関筑波大学

研究代表者

岡野 栄之  筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60160694)

キーワードRNA結合蛋白質 / 転写後調節 / Musashi / Mouse-musashi-1 / 非対称性分裂 / 乾細胞
研究概要

神経系で発現している遺伝子の多くは、選択的スプライシングによる遺伝子産物の多様性の形成、RNAの安定性と翻訳調節、神経突起の先端へのRNA輸送といった転写後レベルでの発現調節により、複雑な神経系の発生過程と可塑性等において重要な役割を果していることが予想される。しかしながら、この神経系における転写後レベルでの発現調節機構に関与する遺伝子産物の機能や特異的RNA配列認識機構に関しては、殆ど知見がなかった。我々は、神経系における転写後レベルでの発現調節機構に関与する遺伝子産物の候補を以下のような方法により見出すことに成功した。
1.ショウジョウバエ神経系特異的蛋白質musashi遺伝子産物
ショウジョウバエ神経系に異常を有する変異体のスクリーニングにより、感覚器を含む神経系における細胞の分化・運命決定を制御している神経系特異的RNA結合性蛋白質をコードするmusashi遺伝子の同定を行った。musashi遺伝子は、外感覚器を構成する母細胞の非対称性分裂を制御し、母細胞から生ずる細胞の分化・決定に必要とされることが示された。
2.ショウジョウバエmusashiに相同なmouse-musashi-1の単離と遺伝子産物の解析
(クローニングおよびin vitroにおける機能解析)musashi遺伝子ファミリーの哺乳類神経系における役割を明らかにするために、low stringent hybridization法により、ショウジョウバエmusashiに相同なmouse-musashi-1(m-msi-1)遺伝子のクローニングを行った。また、in vitroでNorthwestern法によりRNA結合能を明らかとした。(発現パターンの解析と予想される機能)m-Msi-1蛋白質の、成獣における発現パターンを検討したところ、神経系にほぼ限局しており、小腸における乾細胞や卵巣を除く神経系以外の組織においては、発現がみられなかった。また、m-Msi-1蛋白質発現細胞の細胞型特異性を、組織切片および低密度の初代培養細胞の免疫組織化学的手法により検討したことろ、中枢神経系では乾細胞(神経上皮細胞)のマーカーであるネスチンと同様に、中枢神経系の未分化乾細胞において特異的に発現しており、未分化乾細胞の非対称的分裂過程において、自己再生する乾細胞において強く発現していた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Matsumoto, M., Okano, H., et al.: "Ataxia and epileptic seizures in mice lacking type 1 inositol 1, 4, 5-trisphophate receptor." Nature. 379. 168-171 (1996)

  • [文献書誌] Okano, H.: "Two major mechanisms regulating cell-fate decisions in the developing nervous system." Develop. Growth. Differ.37. 619-629 (1995)

  • [文献書誌] Sawamoto, K., Okano, H. et al.: "Argos is required for optic lobe development and projection of photoreceptor axons." Developmental Dynamics. 205. 162-171 (1996)

  • [文献書誌] Okabe, M., Sawamoto, K., and Okano, H.: "The function of Drosophila argos gene product in the development of embryonic chordotonal organs." Developmental Biology. (in press). (1996)

  • [文献書誌] Okabe, M., Okano, H. et al.: "Instinsic and extrinsic determinants regulating cell fate decision in developing nervous system." Dev. Neurosci.(in press). (1996)

  • [文献書誌] Mikoshiba, K., Okano, H. et al.: "Progress in Brain Research" Elsevier. Eds. Yu, A. C. H., Eng, L. F., Mahan, U. J., Schulman. H., Shooter, E. and Stadin, A., 18 (1995)

  • [文献書誌] Okano, H. et al.: "Basic Neuroscience in Invertebrate" Business Center for Academic Societies Japan, Ed. H. Koike, 19 (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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