研究分担者 |
村田 健二 上智大学, 生命科学研究所, 特別研究員
安増 茂樹 上智大学, 生命科学研究所, 助手 (00222357)
井内 一郎 上智大学, 理工学部, 助教授 (10011694)
MURATA K Life Science, Inst., Sophia Univ., JSPS Res., Fellow
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研究概要 |
平成6,7両年度にわたった本研究の当初の目的は、従来ともすればその生物学的意義が充分認識されなかった動物の卵外被の機能を分子レベルで理解する為に、又、高度にオルガナイズされた一種の細胞間基質としての卵外被を理解する為に、卵外被の構造を分子レベルで明らかにすることであった。その方法は以下の三種であった。(1)卵外被内層サブユニットの前駆体の構造を知る、(2)未硬化卵外被内層サブユニットの単離・分析と、卵外被硬化機構の解析を通じて内層構造を理解する、(3)孵化酵素によるサブユニットの限定分解を利用してサブユニットの構造に関する知見を得る。この結果、以下の様な成果を得た。(1)卵外被サブユニット前駆体の精製・解析が進み、そのcDNAのクローン化と分析も行った。これによりZI-3の前駆体,L-SF、は401個のアミノ酸より成り分子量約4000のN-グリコシド糖鎖を含むこと、哺乳類透明帯と相同性を持つタンパク質である事等が解った。又、ZI-1,2の前駆体、H-SF、も約600余りのアミノ酸より成る一次構造が明らかにされつつある。(2)未硬化卵外被内層サブユニット、ZI-1,2とZI-3,のそれぞれの一次構造を損なわないで単離する方法が見出された。それにより得たサブユニットと前駆体を比べると、前駆体のC末端側ペプチドの欠失が起ることが前駆体タンパク質の内層への分子集合に必要であろうと考えられる。又、付活に際しトランスグルタミナーゼによりサブユニット間にγ-Glu-ε-LYS架橋が形成されることが明らかとなった。(3)孵化酵素(HCE)はZI-1,2サブユニットを限定分解し、プロリン含量が多く(30%以上)、γ-Glu-ε-LYS架橋に富むペプチド部域を遊離する。本研究の結果を総合し、未硬化及び硬化卵外被の分子構築に関する知見が極めて豊富になった。
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