1.8年度はキメラマウス同士を交配して系統を樹立することとトラップジーンを解析した。神経系にトラップジーンが発現している3系統の中で2系統については、生殖系列に寄与しES細胞から成る固体を得ることができた。それぞれをGT3-11及びGT3-12と命名した。この樹立2系統個体においてもトラップジーンが脳神経系に主に発現し、キメラマウスで観察したのと殆ど同じ発現パターンであった。このことは今回得られたES細胞はキメラ率の非常に高い事を意味している。 2.生後2〜3週の尾からDNAを分離して制限酵素EcoRIで消化した後、再度ライゲエーションし大腸菌にトランスフェクションすることによって、トラップジーン内のアンピシリン耐性遺伝子を含む融合遺伝子DNAのみを回収した。アンピシリン耐性遺伝子を利用したプラスミドレスキューによって挿入された遺伝子の一部をクローニングすることに成功したので、その一部のDNA断片を遺伝子型の解析に用いた。GT3-11についてはヘテロ同士の交配で生まれた子尾DNAを単離してサザーン分析を行なったところ、ホモ個体が得られず胎生致死と考えられた。GT3-12に関しては挿入された遺伝子を回収したが、サザーン分析に使用できる適切なDNA断片が特定できていない。 3.ジーントラップされたES細胞および胎児脳から精製したRNAを鋳型として5'RACEを行った。トラップジーン内のネオマイシンホスホトランスフェレースmRNAに相補的なオリゴヌクレオチドを合成して融合cDNAをクローニングした。部分塩基配列を決定した現時点ではトラップジーンは未知の遺伝子の様である。
|