研究概要 |
脳内神経伝達物質あるいは調節因子の内,神経ペプチドは脳内に多く存在する。しかし,それらの生合成酵素に関する研究が遅れており,生理機能・調節機構の解明がほとんど行われていない.2年目の本年は神経ペプチドのうち大脳皮質に多く存在し,記憶に関するコレシストキニン,サブスタンスPおよびタキキニン類の生合成酵素の単離に関する研究を行った.神経ペプチド前駆体構造と類似した蛍光基質を3種類合成し,ブタ下垂体後葉から酵素の単離を試みた.また,これら神経ペプチドの前駆体蛋白質を大量に発現させるため,コレシストキニンとタキキニン前駆体遺伝子を組換えし,baculovirusと大腸菌から前駆体蛋白質の発現を行った.タキキニン蛋白質は融合蛋白質として合成できた.その結果,不溶性蛋白質として発現し,可溶化に成功した.現在ブタ下垂体から精製中の酵素との関係を検討している.ブタ下垂体には少なくとも,合成基質に対する活性ピークが3種類見つかっている.ゲルろ過から分子サイズは約100,80,60kDaであった.これらの酵素がコレシストキニンとタタキニンの前駆体蛋白質を水解するか否かを検討している.
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