グリオスタチンの分泌機構と遺伝子発現機構の解明(加藤、浅井) グリオスタチンの分泌機構:A431をはじめ数種の腫瘍細胞を用いて、LDHを生細胞の指標として生理的な分泌機構が存在するか否かを検討し、培養系では細胞傷害によりグリオスタチン細胞外に放出される結果であった。この結果は、脳損傷ににともないCNTF、FGF、GMFなどの神経栄養因子とともにアストロサイトから放出され、神経機構修復に機能していることがわかった。 グリオスタチン遺伝子発現調節機構:A-キナーゼを介してグリオスタチンmRNAが著明に生合成誘導され、さらにC-キナーゼも一部関与することがわかった。しかしグリオスタチンDNA配列の上流(1.5Kbp)には反応性エレメントは今のところ見つかっていない。さらに興味あることに、グリオスタチン発現はサイトカインであるTNF-αやIL-6によっても著明な誘導がみられることもわかった。 シナプス形式モデルでのグリオスタチン活性(浅井、加藤) 予想どおり、皮質ニューロンと皮質アストロサイトの共培養系においては、グリオスタチン存在下で形態的には著明なシナプス形成促進が認められた。 膜レセプターの同定とシグナル伝達機構(加藤) リガント標識法およびレセプター標識法を用いて現在も検討中である。 グリオスタチンに関した一連の実験を進める過程で、グリオスタチンの発現が慢性関節リウマチの直接的な原因となることが、副次的にわかった。この点については現在本学整形外科学教室の全面的な協力のもとに、精神的な研究を進めている。
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