生体組織に対する高い透過性を利用した近赤外分光法を用いて人の高次脳機能のマッピングを行なった。最大5-チャンネルの同時計測を行ない、ボランティアを用いて、種々のメンタルタスク下での脳局所の血流変動、酸素化状態を連続モニターしたところ、脳活動の上昇に伴い、約70%の成人男性と左前頭部の血流速度の上昇と酸素化ヘモグロビンの上昇が観察された。一方、興味深い事実として、タスクを行なっている際、従来の考えとは逆に、むしろ血流低下、あるいは酸素濃度低下を示す例が見出された。このことは、神経活動時における興奮-血流上昇のカップリング機構に個人差がある事が示唆された。 次に多チャンネル測定から、種々のタスクにおいて、脳内局所(特に左右前頭野及び側頭野)の血流変動は時間的・空間的に異なった挙動を示すことが見出された。これらの一連の結果より近赤外光を用いた脳機能イメージングの道を開くことができた。
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