• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

情報伝達系を介したアミロイド前駆体の分泌とその異常による蓄積

研究課題

研究課題/領域番号 06454705
研究機関東京大学

研究代表者

石浦 章一  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (10158743)

研究分担者 反町 洋之  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10211327)
キーワードアルツハイマー病 / アミロイド / 情報伝達 / C-キナーゼ / 分泌
研究概要

アルツハイマー病の老人斑の主成分は、アミロイド前駆体(APP)の分解によって生じるβ蛋白質であることから、この出現機構がアルツハイマー病の発症原因に大きく関わっている、と考えられている。一方、β蛋白質が出現せずにAPPが分解する分泌経路についても研究が進み、C-キナーゼをはじめとする情報伝達系の活性化によって、細胞内で分解されるべきAPPが分泌されるようになることが、昨年度の研究によって明らかになった。
本年度は、特殊なC-キナーゼ遺伝子の活性化によるAPPの分解と分泌のメカニズムを明らかにする目的で、α、δ、εの3種のC-キナーゼcDNAを繊維芽細胞に導入し、この細胞をTPAで刺激して、APPの分泌量の変化を定量したところ、αを導入した細胞株で刺激に応答して分泌が促進された。
次に、C-キナーゼαのアンチセンスを作製し、リポフェクチンと一緒に細胞に導入することによって、細胞内のαの発現をゼロに抑えた系を確立した。この系では、APPの細胞外分泌は抑制され、C-キナーゼαがAPP分泌に深く関与していることが証明できた。
これらの実験によって、細胞内でAPPが分解されβ蛋白質が生成される系と、APP内の一ケ所で切断されて活性のある大断片が外液に分泌される系の相互移行が、細胞内の情報伝達系によって左右されていることが明らかになり、この結果は将来の治療に結びつくものと期待される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Maruyama,K.,他: "Secretion of Alzheimer β/A4 protein(1-40)and intracellular retention of β/A4 protein(1-42)in transfected COS cells." Biochem.Biophys.Res.Commun.207. 971-977 (1995)

  • [文献書誌] Ohsawa,I.,他: "Expression,purification,and neurotrophic activity of amyloid precursor protein-secreted forms produced by yeast." Biochem.Biophys.Res.Commun.213. 52-58 (1995)

  • [文献書誌] Mantle,D.,他: "Comparison of cathepsin protease activities in brain tissue from normal cases and cases with Alzheimer's disease,Lewy body dementia," J.Neurol.Sci.131. 65-70 (1995)

  • [文献書誌] T.Kinouchi,他: "cPKα and nPKε,but notδ,increase APP secretion from PKC cDNA transfected fibroblasts treated with TPA." FEBS Lett.364. 203-206 (1995)

  • [文献書誌] T.Yoshizawa,他: "A catalytic subunit of calpain possesses full proteolytic activity." FEBS Lett.358. 101-103 (1995)

  • [文献書誌] T.Kinouchi,他: "Arachidonate metabolites affect the secretion of N-terminal fragment of Alzheimer's disease amyloid precursor protein." Biochem.Biophys.Res.Commun.209. 841-849 (1995)

  • [文献書誌] 石浦章一: "化学" 脳の老化はなぜ起こるか.50. 17-19 (1995)

  • [文献書誌] 石浦章一: "アミロイド前駆体の分泌機構の解明「ブレインサイエンス最前線96」" 講談社サイエンテイフイク, 95-106 (1995)

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi