研究課題/領域番号 |
06454711
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
工藤 典雄 筑波大学, 副学長 (60014239)
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研究分担者 |
山本 三幸 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80143147)
山口 峻司 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80110493)
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キーワード | 皮質脊髄路 / 歩行 / 運動ニューロン / 介在ニューロン / ネコ |
研究概要 |
前年度は、成ネコ皮質脊髄路刺激により誘発される前肢屈筋運動ニューロンの2シナプス性興奮が、歩行様神経活動(Fictive Locomotion)の発現時に、リズミックな促通を受けることを示しその詳細を明らかにした。今年度はその経路について検討した。皮質脊髄路から前肢屈筋運動ニューロンに至る2シナプス性興奮路には少なくとも2つの経路があることが知られている。1つはC3・C4脊髄固有ニューロンを介する経路(経路I)、もう1つは頸膨大部の介在ニューロンを介する経路(経路II)である。Fictive Locomotion時に、リズミックな促通を受ける2シナプス性興奮が何れの経路を介して誘発されるのか?これを明らかにするために脊髄の破壊実験を行った。C5の高さで側索腹側部を切断し経路Iを遮断すると肘屈筋の興奮は消失し、手根・手指の屈筋への興奮は維持された。この維持された遠位屈筋の興奮は、中脳歩行野刺激で誘発された歩行運動時に、破壊前と同様のリズミックな促通を受けた。一方、C5の高さで側索背側部を切断し経路IIを遮断すると手根・手指の屈筋への興奮は消失し、肘屈筋の興奮は概ね維持された。歩行時に、この興奮は、屈筋活動相に促通された。以上の結果、近位と遠位の前肢運動ニューロンに対して、皮質脊髄路効果が弁別的に調節されていることが明らかにされた。
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