研究課題/領域番号 |
06454716
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有川 二郎 北海道大学, 医学部, 教授 (10142704)
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研究分担者 |
谷口 孝喜 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40094213)
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10109506)
東 市郎 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (50028411)
橋本 信夫 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60082103)
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キーワード | インフルエンザウイルス / ロタウイルス / ハンタウイルス / アジュバント / MDP / ウイルス感染 / 粘膜免疫 / 動物実験 |
研究概要 |
免疫アジュバントとしてMDP-Lys(L18)を用い、マウスに対する防御活性増強の有無を以下の3種類のウイルスについて解析し、以下のような知見を得た。 1.全身感染ウイルスの代表としての、腎症候性出血熱(Hantaan76-118株)と哺乳マウス(BALB/c、生後1日齢)の組合わせではウイルス接種-1から+7日にMDP-Lys(L18)の皮下接種により有意の生存率上昇が観察された。 2.呼吸器急性感染症のモデルとして、センダイウイルスと成熟BALB/cマウス8(5週齢)の組み合わせでは、MDP-Lys(L18)をウイルス接種の-1から-3日に皮下、経鼻、経口、経直腸のいずれのルートで投与しても有意な生残率の上昇が認められた。 3.消化器急性感染症のモデルとして、ロタウイルスと哺乳マウス(BALB/c、生後10日齢)の組み合わせではMDP-Lys(L18)をウイルス接種の-1から-2日に皮下、経口、経直腸のいずれのルートで投与しても下痢の発症数の有意な低下や下痢症状の軽減が観察された。 4.以上の成績は、免疫アジュバントによって粘膜共通免疫系全体の賦活化の可能性を示唆するものである。しかし、いずれも現象面からのみとらえたもので、免疫機能増強の定量的評価、ウイルス感染病態の解析、特にウイルス増殖抑制の定量的測定が今後必要であると考えられる。 さらに、ワクチンへの将来的な貢献からは、粘膜共通免疫系を利用してワクチン抗原に対する特異免疫増強をも同時に免疫アジュバントによってさらに増強する試みも必要となろう。
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