研究分担者 |
信永 利馬 日本獣医畜産大学, 実験動物, 客員教授 (90004754)
渡邊 夕香 (財)実験動物中央研究所, 遺伝, 研究員 (30281596)
山本 直幸 (財)実験動物中央研究所, 遺伝, 研究員 (20250011)
江袋 美知 (財)実験動物中央研究所, 遺伝, 研究員 (40167292)
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研究概要 |
本研究の目的は,ヒト疾患モデルとなる可能性のある下記の自然突然変異マウスについて生化学ならびに遺伝学的研究を通して,ヒト疾患遺伝子機能モデルへおよびヒト疾患モデルへの道を開こうとするものである。平成8年度に解析を行った研究対象突然変異マウスは外部生殖器に形態異常を持つマウスと重度の貧血を示し,14日齢で100%死亡するマウスであった。 1.外部生殖器に形態異常を持つマウス このマウスは雌雄共に外部生殖器の正中線に沿って形態異常を示した。生後直後から行った形態的な観察からこの異常マウスでは外部生殖器と肛門との距離が短く,正中線に沿って亀裂が観察された。成長と共に改善されることはなかった。結果として,異常を示す雌雄は自然交尾することができなく,繁殖不可能であった。ただ,内部生殖器には異常がなく,体外受精による繁殖は可能であった。次に、本異常を支配する原因遺伝子を探る目的で交配実験を行った。その結果、本遺伝子は常染色体性劣性遺伝子によって支配され,マウス第1染色体の中央部に存在することが明らかになった。本異常は,ヒトの尿道下裂に相当することが明らかになった。 2.重度の貧血を示すマウス 本異常マウスの生化学的特徴は,hematocrit値が正常マウスと比較して極度に低かった。血液塗沫標本を観察した結果,未分化な白血球が正常マウスと比較して多いことが明らかになった。また,異常マウスの結成を電気泳動で調べた結果,トランスフェリンに近い分画に泳動されるタンパクが正常マウスと異なる易動度を示すことが明らかになった。
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