研究概要 |
平成7年度は,前年度の成績を基に,カニクイザルおよびマ-モセットの造血・免疫担当細胞のマーカーの検出と骨髄細胞の移植実験を行い,以下の研究成果および知見を得た。 1.細胞膜下のCD3のε-chainに対する抗ヒト白血球ポリクローナル抗体を用いてカニクイザルおよびマ-モセットのCD3陽性細胞の検出について検検討した。その結果,カニクイザルおよびマ-モセットともに,CD2陽性細胞分画にDC3陽性細胞の存在を確認することができた。 2.免カニクイザルの初期活性化抗原であるCD69を抗ヒト白血球モノクローナル抗体を用いて検索した結果,ConAと共に12時間培養して幼若化させたカニクイザルのリンパ球には明かなCD69陽性の細胞が増加を示した。これにより,CD3陽性分画中のCD69陽性細胞を算出して,活性化T細胞の数を正確に測定することが可能となった。 3.抗ヒト白血球モノクローナル抗体を用いて,マ-モセットおよびカニクイザルのCD34陽性細胞の検出を行なった。その結果,いずれのサルにおいてもQBEND10のクローンにより検出が可能であった。また,マ-モセットではクローン561の抗体においても検出が可能であり,これらの抗体を用いて分離したマ-モセットの骨髄細胞培養ではQBEND10より561のクローンで分離した細胞により多くのコロニーを形成した。 4.マ-モセットに7.5あるいは9.5Gyの^<60>Coの全身照射後の血液,骨髄細胞および全身状態を観察したが,いずれの線量においても重度の骨髄障害の発現とともに照射10日前後に死亡した。 5.マ-モセットの骨髄細胞をトランスジェニックマウス(hGMーCSF/Tg-SCID)に移植して,マ-モセットの骨髄造血能をマウス体内で検索した。300cGyの軟X線の全身照射およびTMβ1(IL2β1)の前処置を施した,10〜12週齢のhGM-CSF/Tg-SCIDおよびSCIDマウスに,マ-モセットの骨髄細胞を尾静脈から移植した。その結果,マ-モセットの骨髄細胞を移植したhGM-CSF/Tg-SCIDでは脾腫が観察され,赤脾髄に赤芽球,巨核球,顆粒球および骨髄球が観察された。
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