研究概要 |
本研究年度における成果は以下の通りである。 I.測定装置系の改良 荷重部→加速度ピックアップ(NP-3210)→FETアナライザ(CF-5220)→カラープロツタ(CX-338)から構成される測定装置を構成した。 その結果 (1)加速度ピックアップの感度向上により、加振圧を減じ、実用化に際し患者への負担を低減できる。 (2)2ch FFT分析により、時間t1,t2のパワースペクトルの並列表示ができ、病態の経時的変化の比較が容易になった。 (3)従前の扇型テンションゲージ荷重部は、サイズの故に生体臼歯部への加圧が困難であったので、市販加圧・ハンマーを小型化して検討を続行中である。 (4)振動波形のコンピュータ処理のためのプログラムを適用して、表示の明瞭化を図っている。 II.歯の植立模型によるシュミレーション実験 抜歯したヒト単根歯、複根歯の根周囲に解剖学的歯頚線から根尖までを、厚さ0.3mm,0.9mmのシリコンラバー(Si・R)で覆い硬石膏内に埋植した模型、同じくSi・Rを付与しなかった模型、サルに嵌植され機能しているオッセオインテグレーション型インプラントについて、パワースペクトル・パターンを比較した。 (1)生体天然歯では、ブロードな1ピークを示した。 (2)単根歯植立+Si・R模型では特徴ある3ピークを示し、Si・Rの厚さは余り関係がなかった。 (3)Si・R層のないものでは連続した崩れた波形を示した。 (4)インプラントは、(2)と類似のパターンを示した。すなわち、骨との化学的結合はないものと考えられる。 (5)単根歯と複根歯のパターンはやや異なるようで、さらに解析を加える必要がある。 III.動物実験 オスの健康なニホンザルの上顎前歯について測定した振動パターンの季節変動は、5月初から11月末までの期間では特に認められなかった。
|