研究分担者 |
小林 大二 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30001655)
田中 夕美子 北海道大学, 農学部, 教務職員 (60221397)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20001662)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
児玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
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研究概要 |
平成7年度は前年度に続き北海道北部雨竜川上流の実験流域と札幌おいて、1995年4-5月の積雪期と1995年11-1996年3月の積雪期に、1)開地と林内における降雪と積雪及び林冠遮断雪、2)融雪水浸透に伴う積雪内及び積雪下面からの融雪水、3)10cmの土壌を浸透した融解水、4)実験流域からの流出河川について酸性度(pH)、電気伝導度(EC)、含有イオン濃度の変動を測定した。特に積雪では幅1.5cmのピットを作り断面全域から雪試料を採取し(最大約200サンプル)積雪中のpH、ECとイオン濃度の水平・鉛直分布を求めた。イオンの主成分(SO_4^<2->,NO_3^-,Cl^-,Na^+,K^+,Ca^<2+>,NH_4^+)はイオンクロマトグラフィーを用いて分析した。その結果融雪水が積雪内に浸透するまでは積雪は成層構造をしており、pHや化学成分も水平方向には一様な分布をしていたが、融雪水が浸透するとその部分(「みず道」)は「ざらめ化」し積雪の成層構造が失われ、この構造変化に従って化学成分の再配分が生じ水平方向にも不均一な分布になることが分かった。融雪最盛期には陽イオン(Na^+)、陰イオン(SO_4^<2->)ともに乾いた積雪時より約50%が脱落した。なお林内の雪や針葉樹林で遮断された積雪のpHと開地のpHでは有為な差はみられず、いずれも融雪が始まる前はpH5以下の酸性雪であり、融雪時にはpH値がやや増加した。一方、10cmの土壌を浸透した水はpH6,河川水はpH7となり土壌による酸性緩和効果が明瞭に現れた。融雪期には開地積雪、林内積雪、10cm土壌浸透水、河川水の順でpHが増加し、全ての化学成分濃度が全地点で減少した。今回は観測間隔が長すぎたため、しばしば報告されている強酸性衝撃(アシッドショック)は測定されなかったが、今後融雪水を連続採水すること等によりさらに詳細な酸性度変化を求める。
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