研究課題/領域番号 |
06455008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 克成 東京大学, 医学部(病), 講師 (10010323)
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研究分担者 |
梁井 皎 順天堂大学, 医学部, 教授 (80114495)
原島 博 東京大学, 工学部電子工学科, 教授 (60011201)
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キーワード | 片側咀嚼習癖 / 睡眠姿勢習癖 / 口呼吸習癖 / strain gauge / 矯正訓練法 / 顔面変形症 / 生体力学的治療法 / 口腔とその周辺の習癖 |
研究概要 |
平成6年度は、従来の臨床研究で実施した機能訓練前・後の症例の正貌の写真とX線規格写真の画像処理を行い、術前・術中・術後の形態的変化と生体力学的要因との相関性の解析を行った。顔貌の非対称性は生体力学要因のうち、主として片側咀嚼習癖と睡眠姿勢習癖、口呼吸習癖の三者の習癖の連鎖により、発症することを代表者が既に明らかにしたので(1993、西原)、顔貌の非対称の顕著な新たな症例について以下の測定を実施した。(1)簡易筋電計を用いて咀嚼筋力の左右差を測定(10名)(2)頭蓋重量の顎骨と歯列に及ぼす影響のstrain gaugeによる実測(睡眠姿勢習癖と枕の硬さとの関連性)(3)口呼吸習癖患者の舌圧のstrain gaugeでの測定 これらのデータの解析により変形症の発症の法則性を明らかにした。力学要因の矯正による形態変化の関連性をコンピューター処理により、予測を行った。これらにより得られたデータをもととして新たな症例に対し機能訓練前に、訓練後の顔貌の変化を予測した顔画像を合成した。顔面の変形症が「口腔とその周辺の習癖」に起因する外力により発症することを代表者は既に明らかにしていたが、平成6年度にはこの外力を種々の装置を作製し、筋電計を用いて実測を行い定量的に把握することができた意義は大きい。これにより、片側咀嚼習癖による筋肉の左右差が明らかとなり、睡眠姿勢習癖による頭蓋の重量が歯列に及ぼす力の大きさと、口呼吸習癖者の舌の〓下時の前歯に及ぼす舌圧の大きさが明らかとなった。これらの資料に基づいて顎顔面および脊椎の変化症の矯正訓練法すなわち姿勢の改善療法のプログラムを開発した。これらの研究成果を顎顔面バイオメカニクス学会において発表し大きな反響があり、一般雑誌への掲載およびテレビ等での放映により直接国民への健康指導ができた意義は大きい。代表者は歯の生体力学的特性の解明(1992、西原)および骨の生体力学特性の解明(1994)を行ったが、このデータの導入により、歯列弓の変形を介して顔面変形症が法則性を以て発症することが明らかになり、これにより生体力学的治療法の臨床応用が可能となった意義は大きい。
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