研究概要 |
本基盤研究はマイクロ波電力伝送システムにおける送受電能動アンテナの技術的検討,低コスト・高効率なシステムの開発を目的としている.本年度はシステム機能モデル実験等を行い,以下に示す新しい知見と成果を得た. 1.送電能動アンテナである太陽発電衛星システム機能モデルに関して,ビーム制御アルゴリズムを明らかにした.ビーム走査に関する実験的検討から,アンテナ相互結合の走査特性に及ぼす影響を明らかにし,その対策としてアイソレータを使用することとした.その結果,良好なビーム走査特性を実現できることを示した. 2.上記送電アンテナにおいてチャネル当たり3〜5Wの高出力を実現するシリコン半導体増幅器の試作を行い,高出力電力システム機能モデルの設計を行った.試作を行ったシリコン半導体増幅器の効率は30〜40%であり,システム機能モデル全体の効率は18%となった. 3.送電アンテナ素子であるキャビティ付スロットアンテナのFDTD法を適用した解析手法を完成した.さらに,送電アンテナ素子の寸法条件を満足するアンテナ素子を開発した.それらアンテナについてFDTD法を適用した解析および実験的な検討によりアンテナ特性を明らかにした. 4.受電アンテナ素子の高調波の再放射抑圧について研究代表者により提案が行われているスリット入円形マイクロストリップパッチアンテナ(CMSA)を改良することにより,再放射抑圧特性を向上する設計法を導出し,解析および実験によりその有効性を確認した.また,受電アンテナ用整流回路のRF-DC変換効率について検討し,整流ダイオードおよび出力フィルタ用コンデンサの高周波特性を改善することにより高効率を実現できることを明らかにした.
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