研究概要 |
平成8年度の研究成果を以下にまとめる。 1)架橋接着に適したニッケルめっきを得るためには酸化皮膜の厚さを20Å以下に保持することが必要であり、このためにはめっき後トリアジンチオール処理をすることが重要であった。また界面化学結合の生成のためには表面の酸化皮膜が酸化ニッケルが望ましく、他の酸素化合物は界面化学結合を形成しないことが明らかとなった。 2)NR,CR,NBR,HS-NBR,EPDM,FR,ARなどの各種ゴムについて実用配合と接着性の関係から検討した結果、実用的なゴム配合のみでは接着しないが、トリアジンチオールとキイ配合剤の増量により目的を達成させることができた。 3)ゴムと金属の直接架橋接着において、重要な因子はニッケル表面の化学組成とその厚さ、界面化学結合の生成及び界面物理構造の解明が重要であった。界面化学結合はクラウスプロット及び化学結合則の発見により、はく離強度とこれらのパラメーターの間に整合性が例外なく認められ、その生成が確認された。界面物理構造とはく離強度の関係についても検討し、金属とゴムの界面近傍のゴム側にゴムと補強性の高いニッケルートリアジンチオール反応物から成る複合層が生成していることが明らかとなった。
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