研究概要 |
本研究の直接架橋接着法はゴムコンパウンドにトリアジンチオールを、金属にニッケルめっきをすることにより、接着剤を使用することなく、架橋しながらゴムと金属を接着する方法であるところに学問的、実用的価値がある。従って、ニッケル鍍金の表面状態、配合系、及び界面反応に基づく接着理論の構築が重要である。同時に、本技術の実用化による新製品の開発も与えられた課題であった。 1)ニッケルめっき表面の酸化皮膜は空気中放置によりその厚さを増し、およそ20Å以上になるとゴムとの接着には配合剤及び接着条件の変化が必要となった。これは表面にトリアジンチオールと安定なニッケル塩を形成しがたい水酸化ニッケルが生成するためであり、界面化学結合の生成のための酸化皮膜は酸化ニッケルが望ましく、他の酸素化合物は界面化学結合を形成しないことが明らかとなった。安定なニッケル表面はトリアジンチオール処理によって得られた。 2)NR,CR,NBR,HS-NBR,EPDM、FR,ARなどの各種ゴムについて実用配合と接着性の関係から検討した結果、実用的なゴム配合のみでは接着性と物性を満足させれないが、トリアジンチオールとキイ配合剤の増量により目的を達成させることができた。しかしながら、架橋特性及び架橋物の物性はトリアジンチオールの添加の影響を受けるので、配合剤の最適添加量の検索がそれぞれについて必要であるが、トリアジンチオールとパーオキサイドの組合せは一般に良好な架橋特性及び架橋物の物性を与えた。 3)ゴムと金属の直接架橋接着において両者の間に化学ポテンシャルの差が生じるため、ニッケルめっき側からニッケルイオンまたは原子が移行し、ゴム中のトリアジンチオールまたは硫黄化合物と反応する界面反応が起こる。ニッケル成分の移行は表面の酸化皮膜の厚さによって制御され、酸化皮膜が薄すぎてもまた厚すぎても問題となる。この様にして生成した反応物は界面近傍のゴム側に分散して界面補強層を形成する。一方、トリアジンチオールは界面層を形成する重要な物質になると同時に、ニッケルめっき酸化皮膜及び補強層の補強物質(反応物)と界面化学結合して、両者の界面を安定化させる。この様な接着機構は界面補強層の存在と界面化学結合の存在を機器分析及び新規法則の発見から明らかになった。 4)多数の試作品がつくられ、今年中には3種類程度実用製品として地域産業の活性化に貢献するだろう。
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