研究課題/領域番号 |
06505005
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 智行 京都大学, 工学部, 教授 (60025989)
|
研究分担者 |
岩本 伸司 京都大学, 工学部, 助手 (50252482)
竹口 竜弥 京都大学, 工学部, 助手 (30227011)
井上 正志 京都大学, 工学部, 助教授 (30151624)
|
キーワード | ディーゼル排気浄化 / NO分解 / 酸素過剰条件 / 微量炭化水素共存 / MFI型メタロシリケート触媒 / 多孔性結晶マトリックス / 耐熱性 / 貴金属修飾 |
研究概要 |
ディーゼルエンジンや希薄燃焼エンジンは、エネルギー効率が高く、大型輸送機関などにますます活用されているが、排気中に酸素を高濃度残すため、窒素酸化物の除去に対しては、従来のガソリンエンジン排気の浄化に使われている担持白金-パラジウム-ロジウム系触媒いわゆる三元触媒や固定床発生源用に用いられているアンモニア脱硝触媒は、表面が酸化されるためほとんど無効となる。これを克服するため、本研究では、従来の触媒反応工学の理解とはまったく異なる微視的非線形解析の把握を触媒構造の設計に生かし、酸素過剰排気中に微量存在する窒素酸化物を有効に除去する触媒反応方式を実現しようとしている。反応を阻害する大過剰の酸素雰囲気の反応環境で、微量の窒素酸化物を効果的に反応させるためには、触媒表面のごく一部の微小部分を、添加した適当な炭化水素分子の触媒燃焼によって瞬時に還元させると、この還元部分では容易に窒素酸化物の分解反応が進行する。過剰の酸素によりこの部分は再び酸化されて活性を失うが、また別の活性部分が発生して目的の反応が進行する。このような真に不均一な表面反応が実現するためには、独立した微小部分がいわば島状に分散した状態で酸化と還元を起こすことのできるミクロ多孔性結晶触媒のマトリックスと、窒素酸化物を分解する金属酸化物種、および、反応温度に合致して燃焼する適当な炭化水素種が必要であり、触媒としてこれまでに、プロトン型のコバルトシリケート触媒がこの条件を満たすことを認め、耐熱性も確認した。しかし、人体に無害な触媒成分としての鉄やマンガンを含むシリケートについても試み、コバルトシリケートに比べて劣るこれらの触媒性能を、白金族金属の修飾によって改善する試みを継続中である。
|