研究課題/領域番号 |
06507001
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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研究分担者 |
榊原 仁作 名古屋大学, 薬学部, 教授 (70080182)
萩原 正敏 名古屋大学, 医学部, 講師 (10208423)
渡辺 泰男 名古屋大学, 医学部, 助手 (10273228)
仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (10262908)
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キーワード | 蛋白質リン酸化酵素 / 特異的阻害剤 / 構造活性相関 / 分子設計 / 有機合成 |
研究概要 |
細胞内情報ネットワークを構成し、その調節因子である多機能性蛋白リン酸化酸素はその反応が俊敏であり、そしてリン酸化された蛋白質は蛋白質脱リン酸化酵素によって以前の状態に復元させることなどで細胞内シグナリングにおける蛋白リン酸化は大いに注目されてきている。とりわけ細胞内セカンドメッセンジャーを代表するcAMP,Ca^<2+>により各々調節されるAキナーゼ、CaMキナーゼは物質代謝、筋トーヌス、遺伝子転写から神経活動といった多くの生命活動に関与していることが明らかにされてきた。これまでに我々は一群の有機化合物の中にこれら酵素に対する比較的特異的な阻害剤をランダムスクリーニングを通して見つけてきた。本年度中にそれら阻害剤の作用機作について若干の知見を得たので以下に報告する。 1.Aキナーゼについて: これまでに我々はイソキノリンスルフォナミドを母骨格とする有機化合物が蛋白質リン酸化酵素の阻害剤になり得ることを多くの事例をもって証明してきた。Cキナーゼの阻害剤とされてきた某薬物である特定の位置にメチル基を1つ付加すると、その蛋白質リン酸化酵素阻害スペクトラムは大きく移行し、Aキナーゼを最も強く阻害するようになった。これらの薬物は蛋白質リン酸化酵素のATP結合ポケットに作用しているとされているだけに、この微妙な構造修飾に比べてその作用の違いの大きさは蛋白質リン酸化酵素間でのATP結合ポケット構造の微妙な違いを反映しているものと考える。このメチル基を他の化学基に置換したものを合成し、どのような変化が生ずるのか目下検討中である。我々は蛋白質リン酸化酵素間のATP結合ポケット構造には微妙な違いがあることを確信し、そこに作用点を持つそれぞれの蛋白質リン酸化酵素に対する特異的阻害剤の創製に日々努力している。 2.CaMキナーゼについて CaMキナーゼIIの阻害剤KN-62の分子上の作用点について目下検討中であるが、詳細は明らかにできていない。これまでCaMキナーゼIIをラット脳より精製して用いていたが、その量に限りがあるために何かと制約が多かった。CaMキナーゼIIのcDNAを単離することに成功したので、今後はそのリコンビナントを用い解析に当たれば突破口が開けると期待する。
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