透過、散乱、蛍光X線の同時診断可能な放射光スキャン型CT装置の開発

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06507002
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 板井 悠二 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30010268)
• 研究分担者: 兵藤 一行 高エネルギー物理学研究所, 助手 (60201729) ; 武田 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10197311) ; 赤塚 孝雄 山形大学, 工学部, 教授 (80091875)
• キーワード: synchrotron radiation / monochromatic x-ray / computed tomography / fluorescent x-rav / scattering x-ray / Compton scattering / Thomson scattering / transmission x-ray

研究概要

本年度は2年にわたる研究の最終年度で、目的としたX線エネルギー分解能を有する多チャンネルゲルマニュウム半導体検出器が完成し、従来の蛍光X線CTの研究に加え、特に散乱のX線CT画像の作成を行なった。蛍光X線、散乱X線等の情報が、同時に計測可能となった。
1)蛍光X線CT:初期の蛍光X線画像では、xy軸に被射体をスキャンする型のトモグラフィとして画像を収集していた。今年度の研究では、平行コリメータと大口径ゲルマニュウム半導体検出器を用い、回転とy軸スキャンを行ないCT断層画像を作成した。ファントムを用いた実験で、ヨウ素励起量にして50ngを検出可能で、目的とした検出濃度まで到達した。
2)散乱X線CT:トムソン散乱画像の作成を多チャンネル半導体検出器を用いて施行した。トムソン散乱CTでは、カルシュウム、油、アクリル、ヨウ素溶液をそれぞれの物質に分けて検出可能であった。コンプトン散乱CTは、大口径ゲルマニュウム半導体検出器を用い蛍光X線と同時に収集し、物質ごとの電子密度の差を描出可能であったが細かい解析は撮像の時間が短かったため画像のシグナルノイズ比が十分でなく今回はできなかった。
3)透過CT画像は、CCD検出器の検出精度が十分でなかったが、高空間分解能な画像を描出可能であった。
放射光を用いた透過、散乱および蛍光X線計測可能なCT装置を作成し予備実験を行い、それぞれの特徴ある情報をCT像として得ることが可能であった。

研究成果

• [文献書誌] Takeda T, Maeda T, Itai Y et al.: "Fluorescent scanning x-ray tomography with synchrotron radiation." Review of Scientific Instruments. 66. 1471-1473 (1995)
• [文献書誌] Itai Y, Takeda T, Akatsuka T, et al: "High contrast computed tomography with synchrotron radiation." Review of Scientific Instruments. 66. 1385-1387 (1995)
• [文献書誌] Momose A, Takeda T, Itai Y: "Phase-contrast x-ray computed tomography for observing biological specimens and organic materials." Review of Scientific Instruments. 66. 1434-1436 (1995)
• [文献書誌] Kazama M,Takeda T, Itai Y, et al.: "Development of computed tomography with synchrotron radiation." Medical Imaging Technology. 13. 543-545 (1995)
• [文献書誌] Takeda T, Momose A, Itai Y, et al.: "Phase-contrast imaging with synchrotron x-rays for detecting cancer lesions." Academic Radiology. 2. 799-803 (1995)
• [文献書誌] Takeda T, Itai Y, Hayashi K, et al.: "High spatial resolution CT with a synchrotron radiation system." Journal of Computer Assisted Tomography. 18. 98-101 (1994)