研究課題/領域番号 |
06508003
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研究種目 |
試験研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
早石 修 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 所長 (40025507)
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研究分担者 |
大坂 寿雅 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (30152101)
渡部 紀久子 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (90211672)
裏出 良博 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究副部長 (10201360)
松村 人志 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究副部長 (50173886)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | プロスタグランジンD_2 / プロスタグランジンE_2 / 睡眠・覚醒 / A_2アデノシン受容体 / 吻側前脳基底部 / 脳脊髄液 / β-トレース / PGD合成酵素 |
研究概要 |
われわれの研究グループでは、プロスタグランジン(PG)D_2の睡眠促進作用と、PGE_2の覚醒作用を発見し、その作用機構の解明に取り組んできた。PGD_2の合成酵素の脳内での分布に関して、in situ hybridizationや免疫組織化学の手法により調べ、脳脊髄液を産生している脈絡叢や脳表を覆っている膜組織(leptomeninges)に豊富に存在していることが明らかになった。さらに、PGD_2が非常に顕著に徐波睡眠を促進する作用部位をラットで明らかにすることに成功した。以前から、PGD_2の作用部位は、睡眠中枢のひとつと信じられている視束前野であろうと予測されていたが、実験結果から、真実の作用部位は、より吻側領域の腹側表層部に存在することが示された。さらに、脳表を覆う脳脊髄液中のPGD_2量の日内変動をラットで調べたところ、活動期である夜間より、主に眠っている日中の方が高値を示すことも明らかになった。これらの諸結果から、PGD_2は脳脊髄液中や脳表の膜組織中に存在するPGD合成酵素の働きにより合成されたあと、ventral striatumとも呼ばれる側坐核(sccumbens nucleus)や嗅結節(olfactory tubercle)が存在する領域の腹側表層部に作用し、主に徐波睡眠を促進すると考えられた。さらに最近、PGD_2が当該領域の腹側表層部に作用した後には、側坐核や嗅結節に豊富に発現しているA_2アデノシン受容体の働きを介して、徐波睡眠促進に到っていることが示唆されている。また脳脊髄液中のPGD合成酵素は以前からβ-トレースとして知られていた、脳脊髄液中ではアルブミンに次いで2番目に多いタンパク質と同一であることが、われわれの研究室と国外の研究グループとの共同研究で明らかになった。また、PGD合成酵素の変異体を作成して検討した結果、本酵素の65番目のシステイン残基がその活性に必須であることも明らかになっている。
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