研究概要 |
高齢ドライバーは多重情報処理能力に衰えが見られる。その結果交差点など同時的ないしは短時間のうちに多くの情報を処理しなければならない場面において不適応を示す傾向にある。このことは年齢が増すにつれて反応時間の遅れや視力、視野の低下と相俟って高齢者の交通事故率を高める原因となっている。高齢者にとってとっさの判断や反応により事故回避を期待することは難しい。しかし、十分な余裕時間があるならば事故回避が可能である。そのために何が必要か?危険が顕在化する以前に危険をあらかじめ予測しうることが求められる。そのことによって危険事象の出現の時点でそれに対する対処の構えが備わり危険回避のための余裕時間を獲得するとができる。本研究はこの危険予知能力を高齢ドライバーが確実に獲得しうるためのCAIシステムの開発を目指した。具体的には、企業開発センター株式会社、日立ソフトウエア株式会社との共同開発プロジェクトを新たに発足させ、太田,宇田川が文部省科学研究費によってすすめてきた研究成果を実現化しつつある。本システムでは特に事故率の高い交差点、細街路におけるさまざまの危険源をビデオにより実写し、それを基にして被訓練者に危険源を指摘させ結果をフィードバックする。結果の評価は判断の速さと正確さ、そして危険源の深さについて行われる。最終的な目的は被検査者の自己理解にある。自己の問題点を理解して納得し、危険の発生のメカニズムについての図式を確定することを目指すものである。
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