研究概要 |
(1)既存研究のレビュウと新しい密接関連の概念 初年度においては,まず密接関連研究の過去の研究事例を整理した。研究論文については,研究代表者が1昨年度までの試験研究において論文等を収集しているので問題なかったが,とくに広域的な道路ネットワークの形成とその評価問題に関連する文献の収集を行い,このテーマを扱う際の問題の所在を明らかにすることとした。そして,広域的な密接関連分析にはどの指標が適切であるかを検討した。検討した指標は,静態的密接関連概念と動態的密接関連概念の2つである。前者は当該2つの道路が存在する場合,後者は一方の道路が存在しない場合と区別している。 (2)呼吸マルコフモデルによるトリップチェインの定式化と自動車トリップへの適用 本来個々人のレベルでは1日全体で連続していたトリップチェインの視点に立ち、“新しい密接関連"考え方を分かりやすく図解を交えながら解説した。ここから、上述の広域的視点で路線の密接関連概念が提案される。ついで、吸収マルコフモデルを用いて、分析の単位となるトリップチェインを記述するモデルを簡潔に紹介した。最後に,以上で提案された密接関連概念とトリップチェインモデルを用いて、都市高速道路の最大顧客である業務系の自動車トリップチェインを対象とした仮想的なケースについての密接関連性を試算した。そして,次年度での精緻化に向けて、その試算結果を十分に検討し,モデルの挙動を十分に理解しておくこととした。用いたデータはS60センサスとH2センサスデータである。ただし,両データとも拘速利用は判明するが、阪神高速道路利用が必ずしも判明しないので,データ加工を要した。その結果,利用可能なチェインデータのうち3.5%程度が密接関連分析に利用された。
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