研究課題/領域番号 |
06554011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
為ヶ井 強 東京大学, 工学部, 助教授 (30183073)
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研究分担者 |
竹内 良一 昭和電工株式会社, 秩父工場, 研究員
臼田 雅彦 昭和電工株式会社, 秩父工場, 研究員
芝内 孝禎 東京大学, 工学部, 助手 (00251356)
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キーワード | ホール素子 / 高温超伝導体 |
研究概要 |
本年度は、低温強磁場下で動作可能な走査型ホール素子顕微鏡に用いるホール素子と移動機構の開発を行い、その性能評価をした。 低温強磁場下で動作可能な移動機構として機械式の3次元走査機構を採用した。主要な走査はリング状の試料台をθ方向に回転させることにより行った。この試料台をz方向に移動させ、さらに、ホール素子をθ方向と直行するr方向に移動することにより、3次元走査を実現した。この装置は直径32mmの円筒形に納まっており、縦磁場の超電導磁石に挿入し、1.3K〜300K、9テスラのまでの磁場下で局所磁場分布の測定で可能である。試料とホール素子の距離は、室温でセットすることにより約30μmまで接近させることができる。距離を計測するセンサーを付加することにより、さらに試料表面に近い磁場分布ができるものと期待される。 微小ホール素子部分に関しては、市販のホール素子でその性能が実証されているイオン打ち込みしたGaAs基板を用い作製した。ホール素子パターンはプロトンを用いた伝導層の不活性化により形成している。ホール素子の最小寸法は現在5μmx5μmである。ホール素子の寸法の減少に伴うインピーダンスの増加による雑音を極力抑えるため、ホール素子以外の配線部に金を蒸着しインピーダンスを低下させている。こうして作製したホール素子10個からなる微小ホール素子アレーを3次元移動機構と組み合わせることにより、走査型ホール素子顕微鏡を構成した。この装置の性能評価として、高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+y>単結晶の低温での臨界状態における局所磁場分布を測定し、θ方向で1μm、r方向で約5μmの精度で移動機構が動作していることを確認した。また、前述の温度・磁場範囲で磁場分解能約0.1Gの測定が可能であることが明らかになった。
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