確度の高い^<39>Ar-^<40>Ar年代測定で最も重要なことは単結晶での段階加熱による脱ガスと同位体分析である.本研究では比較的廉価な汎用レーザー発振装置と赤外放射温度計を用いて温度制御が可能で高性能な段階加熱装置を試作し^<39>Ar-^<40>Ar年代測定に応用することを目的としている.そのために、初年度に、本研究での主要設備品としての赤外放射温度計購入した。次年度では、既存のレーザー発振装置の利用が可能になり、合わせ用いて具体的な実験を実施した。試作する装置とは中温領域と高温領域を別々な検出器で測定する従来のメーカー例の方式を中温領域のみの検出器で高温領域まで測定可能にするものである。それには特殊なフィルターを使って高温領域を測定する独自のアイデアが用いられている。この場合フィルターを通すために生じるエネルギー減少の補正ために内蔵された数値プログラムを書き換えるのでなく、出力端子の電圧と真の温度との変換表を作成することを行った。それによって、温度を制御しながらのレーザー段階加熱が迅速に精度よく行えるようになった(業績参照)。また、レーザー段階加熱による単結晶鉱物^<40>Ar/^<39>Ar年代測定を実際に行い、その成果の一部を学会で発表した。 本計画の進行中の副産物として中温領域での試料からの脱ガス種の同定及び定量分析が可能となった点である。計画の若干の変更は廉価であるが高性能な四重極質量分析計の存在に目を向けさせ、今迄、誰も行っていない上記研究を可能にした。最大の特徴は短時間に刻々と変化するガス種のスペクトル強度が高スピードで測定できる点でガス導入時の正確な定量分析ができる点である。確度の高い^<39>-^<40>Ar年代測定では多数の段階加熱フラクションからの年代スペクトルを得る必要がある。それはまた、個々の同位体測定時間の短縮が要求される。今回、ガス精製時間の検討が活性ガスの時間変化を直接測定することができるようになった。
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