3次収差までを考慮にしれたイオン光学にもとづいて計算した、高感度・高分解能扇形一様磁場型単収束質量分析計を構成する電子衝撃型イオン源及び静電型Qレンズ系を設計・作成し、その基礎性能をテストした。イオン源及びQレンズ系の設計に際して、分解・組み立て時の精度及び再現性がよいこと、両者の相対位置、特に光軸のまわりのQレンズの設定角度を真空系外から微調整できるように配慮した。Qレンズ系とイオンコレクターの間に偏向電極をおき、イオンビームを走査するとによって、ビームプロファイルを測定できるようにした。イオンコレクターとしてファラデーカップおよび2次電子増倍管(セラトロン)を用いた。又、全系は超高真空仕上げとした。系の真空度は5x10-8Torrで、超高真空系として使用できる見通しが得られた。イオン源出射スリット幅1mmにおけるアルゴンに対するイオン源感度は、1x10-4/Torrで理論最高感度(1.1x10-3A/Torr)に比べて約1桁小さい。これはイオン源磁場を使用していないためと考えられるので、更に高感度を実現するためには、この点を改良する必要がある。イオン源から出たビームのプロファイル、Qレンズの印加電圧と上下左右各々の焦点距離とビームプロファイル、Qレンズの光軸のまわりの設定角度とビームプロファイルの関係を調べた。
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