研究概要 |
1.分子クラスターラジカルカチオンの新生成法の開発とフェノール水素結合クラスターイオンの可視および赤外分光 ジェット冷却したフェノールとN(CH_3)_3,NH_3,H_2Oとの水素結合体ラジカルイオンについて、光解離分光法による電子スペクトルの観測を行った。ジェット冷却したクラスターイオンの生成法は新しい方法を開発し、フェノールイオンを生成したのちクラスター形成とジェット冷却を行った。N(CH_3)_3,NH_3とのクラスターイオンでは、水素結合による分子間伸縮振動を含む振電バンドが明瞭に観測され、この方法の有効性が示された。観測結果に基づいて、クラスターイオンと中性クラスターの形態の相違について議論した。 2.フェノール・(H_2O)_n水素結合クラスターイオン構造の分光研究 開発したIR-UV二重共鳴分光法とイオントラップ分光法を結合して、フェノール・水クラスターイオンの安定構造を、電子遷移および振動分光の両面から解析した。その結果、クラスター内プロトン移動がクラスターサイズに依存して起きることを見いだし、[PhOH-(H_2O)_n]イオンの安定構造が、n=1,2では非プロトン移動型[PhOH^+-(H_2O)_n],n≧3ではプロトン移動型[PhO-H^+(H_2O)_n]になることを明らかにした。
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