研究課題/領域番号 |
06554027
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
杉原 美一 山口大学, 理学部, 教授 (30112006)
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研究分担者 |
新本 善英 住化ファインケム, グループマネージャー
真崎 康博 東京大学, 教養学部, 助手 (60199677)
山本 浩司 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (80029438)
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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キーワード | 含ホウ素共役系 / 双極子モーメント / 安定ヘテロ芳香族 / 分極能 |
研究概要 |
ヘテロール縮環ボレピンとしてピロロ[3,4-d]ボレピン(1)のN-メチル体とN-シリル体(2)の合成を達成し、物性を種々精査した。前者はチオフェン縮環体(3)(4)に比べ酸に対して不安定であり、精製条件探索に時間を要した。また、中間体へのハロゲン置換基導入、ヒドロ錫化の段階に多くの条件検討を必要とした後、新規反応条件を見いだした。後者についてはN-ケイ素結合が弱いために合成に際して、細心の注意を必要とした。物性精査手段として、すべての骨格原子の核磁気共鳴スペクトル、吸収/ケイ光スペクトル、酢酸/アミンに対する反応性、および分子軌道計算を用い、以下のことが明白となった。(1)と(2)とも基底状態の双極子モーメントは比較的小さい。励起状態と基低状態における双極子モーメント差は、(3)(4)の場合に比べかなり大きい。π電子のホウ素原子方向への非局在化は、通常、系の速度論的不安定化の原因となり、これを解消するようなヘテロールとボレピンの縮環形式が必要とされる。(2)の脱シリル化/窒素アニオン生成によって、分子間ホウ素-窒素配位結合-多量体形成が観測される。 比較物質として、カルボニル基をアクセプターとする系を取り上げ、ホウ素原子をアクセプターとした場合の有為さを如実に示した。理論計算から、非線形光学材料として注目されているアザアズレンが、ホウ素原子と極めて親和性の高い窒素原子を共役系に組み込んでいることに着目し、新たに、ホウ素配位アザアズレン系化合物合成に着手した。また、天然に存在する元素のなかで、最も原子量の大きいビスマスの材料としての潜在性に着目し、研究を展開させた。 以上、含ホウ素共役系材料の分子設計、合成の一般的指針を見いだし、有機ビスマス系へ研究を展開させた。芳香環を介在させたドナー/アクセプター系に材料としての限界が見いだされつつある現在、含ホウ素共役系をはじめとする含ヘテロ原子共役系は、充分に期待できる素材と考える。
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