研究課題/領域番号 |
06554032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
広田 襄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90093301)
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研究分担者 |
藤井 金苗 日本電子(株), 分析機器, 課長
寺嶋 正秀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00188674)
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キーワード | ESR / レーザーフォトリシス / CIDEP / 過渡吸収 / 時間分解ESR |
研究概要 |
前年度に製作した装置および関連するESR装置を用いて以下の研究を行った。 (1)装置の改良 前年度に製作した装置の性能をチェックし、励起光およびプローブ光の入射方法、サンプルセルなどの改良を試みて、過渡吸収測定における感度の向上をはかった。 (2)ESRと過渡吸収による光反応初期過程の研究 キノキサリン、フェナジン、キノリンなどの芳香族アザ化合物の2-プロパノール中での水素引き抜き反応で生じるラジカルのCIDEPの機構について詳しい研究を行った。これらの分子の示すDIDEPスペクトルは著しい濃度、励起光強度、遅延時間依存性を示し、数種の分極機構の関与を示す。高濃度で観測される全放出型の信号の立ち上がりおよび減衰と、T-T吸収の立ち上がりと減衰の詳しい比較から、全放出型のスペクトルは、ラジカル-三重項機構によるものと結論された。種々の反応と緩和のスキームを考慮してCIDEP信号の時間変化を表す式を求め、実験で得られた信号を理論式から予測されるものと比較検討した。低濃度では一致は良好であるが、高濃度ではCIDEPの立ち上がりは著しく速くなり、T-T消滅によるものと解釈された。 (3)CWおよびFT時間分解ESRによる光反応およびCIDEPの機構の研究:(3.1)2-プロピノリルラジカルのビラジン、キノキサリン、p-ベンゾキノンによるクエンチングの反応速度をCWおよびFT時間分解ESRを用いて決定した。(3.2)LおよびSバンドの低周波ESRを用いてCIDEPの三重項機構の磁場依存性について種々の反応系で詳しい研究を行い、TMの寄与が磁場の強さと共に増加する場合と減少する場合があることを見いだし、その結果をAtkins-Evansの理論式に基づいて説明した。また、スピン相関ラジカル対のCIDEPスペクトルの磁場依存性について、溶液、ミセル、ビラジカルなど系について詳しい研究を行った。
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