本年度は、昨年度に試作した装置を用いて、アルミニウムの実験室におけるTRXRF分析法について、試料ホルダー、励起管電圧、電流、ステージ位置、内標準等の基礎的諸条件の検討を行った。試料ホルダーとして通常用いているパイレックス試料板の主成分であるSiによるAlの妨害の除去法を検討したところ、Pt-Pdによる蒸着を行うと本来パイレックス試料板から出るSiのピークは検出されず、Alのピークがはっきりと確認できた。内標準としては、生体には含まれず分析線にエネルギーの近いScが有効であることがわかり、それを加えたことによって直線性の良い検量線が得られ、Alのngレベルでの定量が可能となった。生体試料への応用として、ラットへのAlの投与実験を行い、ラットの肝臓、腎臓、脳、肺を摘出しそれぞれの試料の前処理法、およびAlの定量法について基礎的検討を試みた。本研究成果は本年5月に愛媛大学で開催される日本分析化学会分析化学討論会で発表する。今後は、ラットによる臨床医学的実験と放射光を用いたAlの定量実験を行う予定である。
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