研究課題/領域番号 |
06554036
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉岡 崇仁 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (50202396)
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研究分担者 |
林 秀剛 信州大学, 理学部, 教授 (60087129)
和田 英太郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40013578)
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キーワード | 不均一系 / 微小粒子 / YAGレーザー / 赤外線顕微鏡 / トレーサー実験 |
研究概要 |
マルチモード5W(定格)のYAGレーザー光を赤外線顕微鏡のレンズを通して試料に照射するための、コリメータ・光ファイバー・レンズ系の開発が完成し、取り扱い方法等をとりまとめた。ビデオカメラにより、レーザー照射時の微小部位の確認が可能となった。炭素同位体比のわかっているセルロースフィルター(レーザー吸収用に酸化銅末をのせたもの)を石英セルにいれ、純酸素(99.995%)下でレーザー処理した。30〜45分の処理時間で、炭素量約1〜2μgのCO_2を生成した。ガスクロマトグラフィーによる燃焼結果の評価は、ガス導入が困難なことからできなかった。この点を、生成CO_2ガスの同位体比測定から評価するため、電気炉を含む真空ラインで精製した後、同位体比のわかっているCO_2ガスで20から70倍に希釈し、同位体比質量分析計で測定した。レーザー法(LASMMA法)では、セルロースの同位体比はδ値単位で約1‰低く求められた。これには、同位体比測定自体の誤差(±0.2‰)が希釈の効果で大きくなることと、電気炉からのわずかなコンタミネーション(0.05μg程度)が関与している可能性が考えられる。しかし、いずれにしても、この差は通常のトレーサー実験で用いられているatom %単位では、わずか0.0005%にすぎず、問題はないと考えられる。一方、試料の同位体比と希釈率を仮定して数値計算した結果からは、1.66atom %(δ値で約500‰に相当)の試料の場合、希釈率60までは5%の精度でその値を推定できることがわかった。これは、従来のトレーサー実験と同程度の精度である。本法は、種あるいは細胞レベルでのトレーサー実験への応用が十分可能であると考えられる。 最終年度の平成8年度では、精度に関するチェックの詰めをするとともに、実際のトレーサー実験試料の分析を行い、手法の完成を目指す。
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