研究課題/領域番号 |
06554037
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
芦田 正明 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50012422)
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研究分担者 |
落合 正則 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10241382)
土谷 正和 和光純薬工業株式会社, 中央研究所, 研究員
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キーワード | ペプチドグリカン / β-1、3-グルカン / 細菌 / カビ / フェノール酸化酵素 / 昆虫 / 血液 / リムルス |
研究概要 |
研究計画書調書・交付申請書に記した計画にしたがって順調に進展している。本年度購入した全自動タンパク質一次構造決定装置は本研究課題遂行に威力を発揮している。 本年度はフェノール酸化酵素前駆体のcDNAの調製とその塩基配列の決定/塩基配列からアミノ酸配列の推定/フェノール酸化酵素前駆体のリジルエドペプチダーゼ消化産物のペプチドマッピング/得られたペプチドのアミノ酸配列の決定/フェノール酸化酵素前駆体が活性化されるときに切断されるペプチド結合の同定/フェノール酸化酵素前駆体のN末端構造解析を行った。 cDNAの塩基配列より推定されたフェノール酸化酵素前駆体の一次構造は、今まで知られていたカビ、哺乳類、バクテリアのフェノール酸化酵素と、銅を配置するドメインの構造において大きく異なることが明らかになった。カビなどのフェノール酸化酵素は一分子中に二原子の銅を持っていることが示されている。この二原子の銅の内、一つの銅の結合部位はヘモシアニンのCu(B)サイト一次構造と相同性が高いが、他方の銅の結合部位はヘモシアニンのCu(A)サイトとの一次構造と相同性を示さない。ところが家蚕のフェノール酸化酵素前駆体はその一分子中に二原子の銅を持ち、二つの銅を結合する部位の一次構造はそれぞれヘモシアニンのCu(A)、Cu(B)と非常に高い相同性を示した。この事実は家蚕フェノール酸化酵素前駆体はいままで知られていたカビ、哺乳類、バクテリアのものと異なり、新しいタイプのフェノール酸化酵素であることを示している。 フェノール酸化酵素前駆体が活性化されるとき切断されるペプチド結合は-Asn-Arg-Phe-Gly-のArgのカルボキシル側で、ArgはN末端から50番目のアミノ酸であった。また、フェノール酸化酵素前駆体のN末端アミノ酸はアセチル化されていることが証明された。
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