本研究の目的は、これまでに提唱されている原生動物の分類体系を整理し、原生動物の分類と種の同定に関するパソコン用ソフトウェアを自作することである。本年度は、備品として購入したレーザービデオディスク装置を用いた映像ライブラリーを作製するために、この装置を制御可能なNEC PC-9801コンピュータ(FA2)を用いて、N88BASIC言語により原生動物種の検索プログラムを作製した。このソフトウェアの概要は、これから種を同定したいと考えている原生動物のいろいろな特徴をパソコンに提示していくことによって、分類学上の位置と、可能性のある種名が回答されるといったものである。データの入力は現在も進行中であるが、今までのところでは主に肉質鞭毛虫類を中心に、287項目の検索項目データの入力を終了した。コンピュータ検索システムへのデータとしては、現在は原生動物の分類指標となる細胞学的特徴の記載が主なものであるが、将来的にはそれにとどまらず、分類に必要な実験法の概要、過去に報告されている文献に関する情報、採集・培養方法などを含めることが可能になるように考慮した。この原生動物検索ソフトウェアをより一層充実したものとするために、画像データを組み入れることを計画し、そのためのビデオ画像を収集した。用いた機材は、備品として購入したレーザービデオディスク装置に加えて、研究室に現有のオリンパス製微分干渉顕微鏡(BH-2)に、高性能3CCDビデオカメラ(ビクターKY-F30)を接続し、業務用ビデオレコーダ(ビクターBR-S822)で記録したものも用いた。将来的にはコンピュータによる検索システムと組み合わせることにより映像のライブラリ化を図り、原生動物の種名を提示すると、その種に関する映像情報が瞬時に表示されるシステムを計画している。
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