研究課題/領域番号 |
06555010
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 幹雄 北海道大学, 工学部, 教授 (10240631)
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研究分担者 |
土屋 裕 浜松ホトニクス, 中央研究所, (研究職)研究副所長
上宮 崇文 住友電気工業, 大阪研究所, 主任研究員
森田 隆二 北海道大学, 工学部, 助教授 (30222350)
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キーワード | フェムト秒光パルス / 相互誘起位相変調 / ヘテロダイン検出 / 時間分解干渉計 / 非線形屈折率 / パルス圧縮 / 半導体レーザー / ファイバー |
研究概要 |
極限的な短パルスを発生させるためには、自己位相変調効果を用いた光パルス圧縮法が用いられる。しかし、従来の光パルス圧縮素子である石英ファイバーは、非線形屈折率が小さいことから、そのパルス圧縮効率は低く、増幅をともなった高出力のレーザーパルスを必要とする。これには、高度の調整を必要とする大きな増幅システムが不可欠となり、パルスの強度不安定化、繰り返し周波数の激減、ファイバーの光損傷といった欠点を招くことになる。これらの欠点を克服するため、われわれは非線形の大きな有機材料を用いた光パルス圧縮用ファイバーを提案している。 本年度は、1.新しい短パルス発生法の提案、2.光ヘテロダイン検出フェムト秒時間分解干渉計の試作、3.光パルス圧縮素子としての高PbOドープ石英ファイバーのフェムト秒時間分解非線形屈折率の評価を行った。 ・1.同期された3つのフェムト秒光パルス(ω_<01>, 3ω_<01>/2, 2ω_<01>)のファイバー中での相互誘起位相変調法による超広帯域コヒーレントパルス発生とそのモノサイクル化を提案し、非線形伝播方程式を解くことにより、この実現可能性を理論的に示した。 ・2.ポンプ・プローブ法と音響光学変調器を用いた光ヘテロダイン法とを組み合わせることにより、ヘテロダイン検出フェムト秒時間分解干渉計を試作した。この装置の感度は、従来のフェムト秒時間分解干渉計や、フェムト秒時間分解4光波混合測定系などに比べ、2桁以上も良い検出感度が得られており、低いポンプパワーで非線形性の測定を行うことができる。 ・3.光ヘテロダインフェムト秒時間分解干渉系を用いて、新しい高PbOドープ石英ファイバーの非線形屈折率の時間分解測定を行った。その結果、高PbOドープ石英ファイバーは、フェムト秒に応答する非線形屈折率を有し、その大きさは通常の石英ファイバーの約10倍であることを明らかにした。このことから、PbOドープ石英ファイバーは、フェムト秒光パルス圧縮用ファイバーとして有望であることがわかる。
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