本研究の目的は、光ビームのスイッチやチョップ、方向の切り替え、走査などを行う超小型の光機械(オプトメカニカル)素子を、半導体技術に基づくマイクロマシ-ニング加工で実現することである。本研究ではチャッパ平板やミラーとそれを動かすマイクロアクチュエータを一体化して超小型オプトメカニカル素子を製作する。製作には、フォトリソグラフィーやエッチングなどの半導体技術を活用し、寸法精度1μm程度で高さが100μm程度の立体構造を、基板上に多数作ることを可能にする。具体的には、スリッを開けたチョッパ平板を水晶のアクチュエータで振動させ、光ビームをチョッピングするデバイスや、トーションバーで支えたマイクロミラーを静電駆動して90度のねじれ変形を起こし、光ビームの方向を切り替えるデバイスを開発した。 現在までに次のような知見を得ている。 1.水晶基板を異方性エッチングで加工して、100μm程度の共振変位を得るアクチュエータを作り、スリットの開いたチョッパ平板を駆動して、光ビームのチョッパを作った。また、高次共振モードで50〜100μm程度の静的な変位が端部に得られるエクチュエータで、光ビームをオン・オフするスイッチを実現した。 2.シリコン基板上に、ねじれ変形する細い梁で支持した可動マイクロミラーのアレイを作り、ミラーを静電力で90度傾けることができた。これを、コリメートビーム光ファイバーと組み合わせ、n×nの光マトリックススイッチを構成し、挿入損失10dB以下、消光比・クロストーク60dB以上の性能があることを示した。
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