研究概要 |
走査型振動電極法において生じる誤差を見積もるために,電場解析を効率的に行う数値解析手法を開発した.走査振動電極法では解像度を上げるためプローブを試料表面に近付けると,プローブ自身のために電場が乱れるので誤差を生じる.このプローブ自身の影響を考慮するために数値解析を行う必要があるが,注目領域と装置容器の寸法の比は10^5程度になるので,要素数が膨大となり計算が困難となる.そこで,新しい線要素を用いて解析を階層化することによって1回当たりの連立方程式の元数を小さくした.この結果,従来の境界要素解析手法に比べ大幅に計算時間を短縮できた.二,三の解析例により本手法の有効性を示すとともに,プローブ自身により測定値が過大評価されていることを明らかにした. 走査型振動電極法による測定結果から,試料表面における電流密度分布を推定する逆解析手法を提案し,解析例によりその有効性を示した.測定プローブ自身による誤差を考慮に入れない場合.電流密度を過大評価してしまうことがわかった.この誤差を考慮した場合,電流密度の平均は大略推定でき過大評価の問題は解決できたが,最大電流密度を小さく評価した.この問題を解決するため,試料に電位を与え,新たにいくつかの異なる電場を測定したデータを用いて逆問題の悪条件を緩和した結果,真の電流密度分布と良く一致した電流密度分布を得た.
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