研究概要 |
砥粒加工では、砥粒の運動は機械的な作用によって与えられる.この場合,研磨板や研削砥石といった工具が必要となる.しかし、これらの工具を微小化するのには限界があり,複雑な形状のナノレベル加工に対してはこれらの工具は実用不可能である.そこで,砥粒の運動を他の作用に委ねることが必要となる.本研究では、まず光の放射圧によって,非接触で砥粒の運動方向を制御することを試みる.次にこの砥粒制御法を用いて高精度微細加工法の実現を目指す. 光の放射圧で砥粒を捕らえ、これら砥粒で加工を行うには高出力YAGレーザ発振器とレーザによる損傷を避けて集光できる光学顕微鏡が必要である。初年度は高出力YAGレーザ発振器と光学顕微鏡を購入し、顕微鏡内部ミラーの改良、ビーム走査装置の作成等を行い実験装置の構築に力点を置いた。 YAGレーザ装置は連続発振TEM_<00>18Wのものを選定した。一方、本レーザに対し従来のIR対応型顕微鏡は対応不能であった。そこで、内部ミラーに特殊コーティングを施し、対物レンズにYAGレーザ光線を透過しやすい材質を用いるなどして対処し使用可能な顕微鏡を構築した。また、顕微鏡外部の光学系では2次元の自由な走査パターンを創成するため、X軸,Y軸両方向に同時走査可能なビーム走査装置を作成した。これには2個のガルバノミラーをあて、ミラーには特殊コーティングを施した。さらに、これらをD/A変換ボードでパソコンに接続して制御システムを構築した。 初年度は上述した装置の作成、特に光学系の設計、作成に多く時間を費やした。そのため基礎実験で予定していた微細加工に関する実験が行えなかった。しかし、実験装置がほぼ完成しているため、順調に2年間の研究計画を遂行できるものと考えている。
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