研究概要 |
本研究では,薄板及び箔と呼ばれるような極薄板材料の曲線のスリッテイング加工を容易にするために,帯板上にピアノ線を重ねこれを圧延ロールに通すといった非常に簡便でかつフレキシブルな曲線切断法を開発することを目的にしている.この切断法は,ロール入口においてピアノ線を板幅方向に移動させることによって所要の曲線を創成しつつ,その曲線に沿ったスリッテイング加工を行おうとするものである.従って,ロール入口における線の移動すなわち入力波形と切断された板の形状すなわち出力波形の関係を正確に把握し,板が常に所要の形状に切断されるようにロール入口におけるピアノ線の移動を制御することが重要である.そこで本年度は,コンピューター制御による線の移動装置をロール入口に取り付けた切断装置を試作し,種々の形状の曲線切断を行うと共に実用化に際しての問題点を検討した. 現在までに得られた研究成果は以下の通りである. 1.曲線スリッテイング装置の試作 (1)ピアノ線送り装置の製作:サーボモーター駆動式リニヤスケールを使用してピアノ線を板幅方向に任意に移動することができる装置を製作し,これをロール入口側に取り付けた. (2)ピアノ線送り装置のコンピューター制御:入力(ピアノ線送りガイドの移動量)と出力(ロール直下における線の移動量)の関係を表す微分方程式を導出し,種々の曲線を自己創成していくための入力のプログラムを作成した.これによって,正弦波,三角波,テ-パ-など所要の曲線あるいは非直線形状に沿った切断が可能になった. 2.創成波形の切断波形の精度検証 上記の曲線スリッテイング装置を使用して創成波形と切断波形の精度の検証を行った結果,ピアノ線の移動をコンピュータ制御することによって,非常に精度良く曲線切断できることがわかった.
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