研究概要 |
1.波長の異なる二つの光源をもつ干渉計を構築した. 2.本干渉計を用いて測定結果が十分な精度を保証しうるものであるかを検討するために,まず,異なる波長により取り込んだ干渉縞像の処理結果の比較,および,それらを触針法による測定結果とも比較することにより,その測定精度が本研究の目的にかなうものであることを確認した. 3.波長の異なる二つの光源を用いた干渉計において,各波長に対する干渉縞像をそれぞれ取り込んでそれら輝度データを位相に変換し,いわばコンピュータホログラフィック法によって二つの位相画像の対応する画素のあいだの相対位相差を算出することにより,実行波長が大きい干渉縞像に相当する相対位相像を得ることができ,その結果,その2値画像の縞密度は著しく減少し,その効果が大きいことを確認した. 4.フリンジスキャン装置により取り込み干渉縞像の枚数はどの程度が適切かを検証するために,平面試験片,および歯車歯面を用いての実験を行った.その結果,測定精度との関連でその標準偏差を1μmにするためには取り込み画像は3枚でもよく,さらに,測定精度を上げて標準偏差を0.1μmとする場合でもそれは6〜8枚で十分であることを実験的に検証した.従来,各測定対象面ごとに10枚の干渉縞像の取り込みを行ってきたことに対して,適切な取り込み画像数を決定できたことにより,画像処理速度の高速化およびメモリー領域の節約を可能とした. 5.従来の干渉測定機を用いて撮影される干渉縞像では,光軸から離れた箇所での縞密度は著しく高いものとなる.そのために縞密度が高ければその位相接続を十分な精度でもって行なうことは困難な場合があり,その問題を解決する手法を提示するとともに,実験により検証を行い,その効果の大きいことを確認した.
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