研究概要 |
代表的な摺動条件での摩耗粉の特徴を把握するため,ピン/ディスク型摩擦試験機を用いて,パラフィン系基油およびステアリン酸,硫黄添加油による滑り接触試験を行い,採取摩耗粉の形態解析を実施した.形態パラメータとして50%体積径,複雑度,長短度,光沢度を採用した.採取した摩耗粉の各パラメータの分布,平均値により潤滑油の種類,荷重の大小,実験時間の長短がほぼ識別できることが分かった.つぎに,上記4パラメータを入力,潤滑油2種,荷重,時間を出力層とし,誤差逆伝播学習則を用いた階層型ニューラルネットワーク構築した.このネットワークにより採取摩耗粉の潤滑油,荷重,時間の判定を行い,本方法による摺動条件の識別が有望で可能であること,採取摩耗粉形態により潤滑油,荷重等が異なる摺動条件間の対応関係が評価できる可能性が分かった. また,炭素鋼,工具鋼,軸受鋼を用いて同様の実験を行い,材質の違いにより摩耗粉の形態的特徴に差異があり、今回構築した階層型ニューラルネットワークにより摺動材質の認識が可能であること,認識能力は数μm以上の比較的大きな摩耗粉のデータを用いることにより向上すること示した. さらに,ブラックボックスとみなされ勝ちであったネットワークの内部状態を分析し,ニューラルネットワークが分布をもったデータを認識し,識別するための必要女権としての一つの基準を示すとともに,アナログ的な出力を用いた判定を行う場合には,入力データによっては誤った認識結果を生じる可能性があることを明らかにした.
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