研究課題
試験研究(B)
本年度に重点的に推進した研究項目について以下のような成果が得られた。1.センサーの膜厚と特性値の関係:(1)マンガニンの膜厚と圧力及び高温感度との関係 マンガニンの膜厚(t)が0.03μmと0.1μmの場合、圧力に対する感度(α_P)は、α_p=22.6×10^<-6>(Ω/Ω)/MPa±10%で、非直線性、ヒステリシスは1%F.S.以下となり、tを変えてもほぼ同じ特性値であるが、温度に対する感度(α_T)は、t=0.03μmでは、非直線性及びヒステリシスが大きく(10%以上)、α_Tの値もばらつきが大きい。t=0.1μmでは、α_T=70×10^<-6>(Ω/Ω)/K±10%の特性値が得られ、非直線性及びヒステリシスは3%F.S.以下となり、膜厚はα_Tに影響を及ぼすことがわかった。(2)保護膜 内燃機関主軸受の油膜圧力測定に応用する場合、保護膜厚さは1μm以上で高い耐久性を持つことが明らかとなった。2.成膜時の温度について:スパッタリング出力は、マンガニンは700Wで成膜した。この場合、基板の温度は200〜250℃程度まで上昇し、センサー特性は上記1(1)のt=0.1μmで示した特性を持つが、400Wではこの特性は得難かった。3.スパッタリング装置の循環水温度について:本研究で使用したスパッタリング装置での成膜時の循環水温度は、常に10〜20℃に保つ必要があることがわかった。これは特に絶縁膜や保護膜を成膜するときに重要となる条件であり、この温度が20℃を越えると、絶縁抵抗が低下する確率が高くなった。このため絶縁膜や保護膜のSiO_2は400Wで成膜し、循環水温度を20℃以下にすることで歩留まりの向上に成功した。4.マンガニンの組成比:これまでのA(83Cu、14Mn、3Ni)に加え、B(87.8Cu、8.75Mn、3.45Ni)、C(86Cu、12Mn、2Ni)の各組成比を持つマンガニンの特性値を調べた結果、α_PはA、B、C共に1(1)に示した値となるが、α_TはCの組成においてα_T≒0〜20×10^<-6>(Ω/Ω)/Kと飛躍的に小さくなることが確認できた。
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