研究分担者 |
根岸 秀夫 日野自動車工業(株), エンジンRD部トライボロジーチーム, 課長
川瀬 達夫 NTN(株), 自動車製品研究所, 主任研究員
山本 康一 大同メタル工業(株), 技術研究所トライボセンター, 部長
岡村 広正 トヨタ自動車(株), 第4開発センター第3エンジン技術部, 主査
瀧口 雅章 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (40188115)
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研究概要 |
1.薄膜センターの感知部形状の変更 :長さ3mm、幅30μmの感知部形状を持つ薄膜センターの縦方向ゲージ率(Kl)と横方向のゲージ率(Kt)をストレインアンプ(平成6年度)を用いて調べた結果、マンガニン圧力センサーではKl_M=0.59,Kt_M=1.19,ニッケルクロムアルミひずみセンサーはKl_N=1.49,Kt_N=0.40となり、各Kt値は各Kl値に比べと無視出来ない大きさを持つことがわかった。このため圧力測定値に含まれるひずみの影響の補正値を縦方向ゲージ率の比(Kl_M/Kl_N)のみから求めた昨年度の方法は適切でないことがわかったため、本年度は感知部形状の変更により補正値の精度向上とゲージ率の低減を行った。(I)Φ1mmの円形(1部に30゚の切欠き有り)の場合‥‥‥マンガニンはKl_N≒0、Kt_M=-0.32となり、軸受試験機の軸側にセンサーを形成する場合、荷重による軸の曲げ方向にゲージ率0の方向を設定して形成すれば、ひずみの補正なしに油膜圧力分布を測定することが可能となった。(II)半径0.4mmの半円を組み合わせた形状の場合‥‥‥マンガニンはKl_M=-0.23,Kt_M≒-0.25,ニッケルクロムアルミはKl_N≒=0.55,Kt_N=0.54となり、ゲージ率比は(Kl_M/Kl_N)=(Kl_M/KlX_N)≒-0.44で縦及び横方向のゲージ率比は同じ値となった。よってこの形状の圧力及びひずみセンサーを複雑な変形をする軸受メタルやピストンピン部に形成することにより、より正確な圧力補正値を求めることが可能となった。 2.薄膜金クロム圧力センサー開発 :ゲージ率が0で温度感度が無く、圧力感度のみを持つ薄膜圧力センサー材料として金クロムの合金を試験した。本年度の実験結果では、組成が(96.4Au、3.6Cr)[wt%]の時、圧力感度α_P=(0.6〜9.6)×10X^<-6>,温度感度α_T=(-0.76〜9.2)×10^<-6>の特性値を持ち、さらに上記(II)の形状でのゲージ率は、縦方向がKl=-(0.09〜0.10),横方向がKt=-(0.11〜0.12)となり、(97Au,3Cr)[wt%]ではαX_Pは変わらず、温度感度はα_T=(30〜45)×10^<-6>とやや大きくなるが、ゲージ率はほぼ0の結果が得られた。なお、膜厚は両者とも0.3μm(評価型表面粗さ測定機,平成6年度)である。 3.保護膜材料のアルミナの強度は、スパッタリング時の導入ガス圧力値が5×10^<-3>Torrの時が最も高くさらに製作後に100゚程度でアニールをすると、従来の3倍程度の強度向上があった(連続加重式表面性試験機,平成7年度)。 4.リ-ド膜部での出力の一層の低減を目指し、アルミニウム製リ-ド膜を持つセンサーを製作した。この結果、圧力感度や温度感度及びゲージ率への影響がないことがわかり、リ-ド膜がながくなるピストンボス部の油膜圧力やひずみの正確な測定が可能となった。
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