本研究の目的は、流れの可視化手段のひとつであるトゥインクルレーザシート法にファイバスコープを組み合わせることにより、非透明壁内の三次元流れ場の任意の二次元断面内の流れの計測手法の構築および得られた生画像データの画像処理手法の構築を行ない、一般には可視化計測が困難とされている部位の可視化計測が簡便にできるような計測システムを開発することである。本年度の研究実施結果として、 (1)ファイバスコープの視野特性の調査を行ない、ファイバスコープを通して見られる画像のゆがみの矯正を画像処理時に行なうことにより、計測精度の向上を計った。 (2)ファイバスコープを用いて計測した直円管内の流速分布は、従来のトゥインクルレーザシート法を用いて得られた結果やピト-管などで計測した既存の実験結果と良好な一致を示した。このことより非透明壁でおおわれた内部の流れの可視化観測を行なうにあたって、本手法の高い有用性がうかがえた。 (3)上記(1)(2)の結果をもとに、半径比1の曲がり管出口部の流れ、軸流ポンプの動翼と静翼間の流れについて、流路内にファイバスコープを挿入し下流側より観測を試みた結果、レーザシート光面とファイバスコープ面とに角度を付け観測面に奥行きをもたすことにより、複雑な三次元流れ場の任意の時間、空間における流速計測が可能であることが判った。
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