研究概要 |
最近開発された新しいレーザー光源の一つにス-パルミネッセントダイオード(SLD)がある.この光源を用いて,レーザの照射方向に測定点を自由にトラバースすることができる全く新しいメカニズムの流速計測法を提案し,また計測装置の試作を行った.本計測システムで平行平板間の流れ場を測定した結果,流路中心部付近で最大の流速をとり,壁面近くになるほど流速が低くくなるような理論的に妥当な結果が得られた.その中で以下の事項を確立した. (1)自動計測システムの確立 実際の計測システムでは,光学系のセッティングを容易にするために光路には光ファイバーを使用し,SLD光の分岐・合成を行うビームスプリッタには分岐比1:1のファイバーカプラを用いた.測定点を自由に設定するために,精密自動移動ステージを採用し,測定装置(ロックインアンプ,FFTアナライザ等)とGPIBで結合することで,人手を介さず,自動的に測定を行うシステムを構築した. (2)本計測手法の性能評価 流速が高いほど,即ち,単位時間当たりのSLD光を横切るトレーサの量が多いほど干渉スペクトルの半値幅が大きく,同様にトレーサ濃度が高い程,干渉スペクトルの半値幅が大きくなる結果が数種類のパラメータを変化させた条件下で得られた.これらは論理的に妥当であると考えられる.また,測定位置の分解能としては30μm程度である.以上を総合してSLDを利用した流速測定法の実用化の基礎が確率された.
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