研究課題/領域番号 |
06555058
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒崎 晏夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (70016442)
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研究分担者 |
金井 俊孝 出光石油化学(株)樹脂研究所, 室長
山田 純 東京工業大学, 工学部, 助手 (40210455)
佐藤 勲 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10170721)
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キーワード | 射出成形 / 高分子材料 / 高品質か / 伝熱制御 / ひけ / フローマーク / 固化層 / 粘着力 |
研究概要 |
本研究では熱的成形条件の違いによる成形品精度の変化を材料物性との関連を含めて詳細に検討し、射出成形品の高品位化のための制御技術として確立することとした。本年度はまずひけと呼ばれる不良現象に注目し、ひけ発現位置の金型温度頒布による変化のメカニズムを実験的に検討した。すなわち、ひけは冷却過程にある樹脂表面近傍に発達する固化層の剛性と金型・樹脂界面の粘着力によって決まる表面の変化に対する抵抗力が弱い部分に発生するとの仮定に基づいて、金型表面の温度と粗さを種々変化させてひけの発生状況を観察した。その結果、金型壁温を樹脂の固化温度より高くし固化層の剛性を十分に低めてもひけがこの部分に発生しにくいことから、金型・樹脂間の粘着力は金型壁温度が高い場合に大きく、金型壁温樹脂固化温度を下回ると極端に小さくすることが明らかとなった。さらに金型壁温度が固い場合の粘着力の大きさを把握するために、ひけの発生時刻を保圧時間を変えて制御し、ひけ発生時の低温金型壁面上の固化層の剛性をコントロールしてひけの発生状況を検討した。低温壁の温度を幾通りかに変化させて低温壁側の固化層の剛性が高温壁側の粘着力を上回る冷却状況を求めたことろ、いずれの条件でも固化層厚さがある値となると高温側にひけが発生し、固化層剛性が粘着力に打ち勝つ時点が定量的に明らかとなった。さらに本年度は固化層の進展とともに発生するフローマークと呼ばれる不良現象についても検討を加えた。樹脂と金型の界面に発現するフローマークを詳細に観察した結果、その間隔は樹脂の流動速度と金型壁温度の上昇にともなって徐々に減少し、最終的には発現しなくなることがわかった。この結果を重点仮定の樹脂に発現する固化層の厚さと比較してみたところ、両者の間には明確な相関があることが明らかとなった。
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