「高強度乱れ場の空間微細構造計測のための焦点間隔可変式2焦点LDVの開発」研究の二年目である本年度は、焦点間隔可変式2焦点LDVシステムの性能向上を図るとともに、密閉容器内高強度乱れ場の定常乱れ場の測定への応用を行った。 前年度の焦点間隔可変式2焦点LDVシステムでは、1本のレーザビームからデュアルビーム方式の焦点を2組形成するために、1焦点あたりのレーザパワーが半減する。また、最短1mm以下の近接した2焦点からのドップラー信号を独立して受光する必要から、受光部に光ファイバーを用いている。このようなことから、ドップラー信号の強度、S/N比が低下する。そこで、本年度は光ファイバーによる2焦点からの散乱光の受光をやめ、新規設備である受光器を用いて現有の受光器と合わせ、各焦点それぞれに受光器を設置した。各焦点からの散乱光を分離し独立に受光するために、各焦点を形成する光源側のレーザビームに異なる偏光特性を持たせ、受光器の偏光フィルターによりその散乱光の分離を図った。これにより、、クロストークの低減、データレートの増加、信号処理信頼性の向上が可能となった。また、以上の改良により、2焦点の間隔が0.5mmという狭い間隔においてもクロストークなしに計測が可能となった。 つぎに、高強度乱れ場を発生できる密閉容器内の2点同時流速測定を行った。その結果、従来から行われている時間相関関数からの概算ではスケールが求められない平均流速が零に近い乱れ場においても、このシステムにより乱れのスケールを空間相関係数から直接測定できることが明らかとなった。
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