研究概要 |
これまでは,オプティカルフローを得るために,2種類の空間フィルタを用いていたが,4種類のフィルタを用いる実験を行なった.その結果,より信頼性の高いフローが得られることがわかった.この方法はより多くのDSPを必要とし,計算時間もかかるため,目的の応じて使い分けなければならない.多数のDSPを用いるため,国内の他の研究者も使えるような汎用性のあるDSPボードの仕様を決定し,製作を依頼した.このDSPボードによって,4種類のフィルタを用いて実時間でフローを得るシステムを構成した.また,より汎用的な動物体追跡システムを設計した. オプティカルフローから独立に動く2つの物体を追跡する研究を行なった.フローを得た後に,1つの物体に対して1つのDSPが処理を行ない,2つのDSPが通信をしながらそれぞれ運動物体を検出する処理を行なわせる方式を開発した.しかし,完全に2つの物体が重なる場合には追跡する人を取り違えることがあり,それをフローのみから区別することは困難であり,運動の連続性の過程が必要であることがわかった. オプティカルフローだけでは,類似した速度で動く複数の物体の切り出しが困難であるので,画像の明るさのから得られるエッジ情報を利用する研究を行なった.エッジ情報も背景によって得られない場合もあるので,フローと組み合わせる必要がある.DSPボードの数が十分でないため,実時間処理はできないが,合成画像を用いたシミュレーションでは有効な方法を開発した.同様に,両眼立体視から得られる距離情報の利用を研究し,シミュレーションを行なった.距離情報もDSPボードを用いて得ることを予定し,必要な拘束条件を考慮して物体の追跡法を研究した.やはり,実時間処理はできないが,ビデオで撮影した動画像をオフラインで処理する方法で,処理方式の妥当性を検討した.
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