次に示す2つの項目について、研究を行った。 1)透視変換マトリックスの測定の改善 2台のカメラからの映像を用いて3次元情報を復元する場合、2次元映像と3次元実世界との関係を表す透視変換マトリックスの測定が必要となる。(1)カメラの姿勢と実世界での座標軸の取り方と(2)透視変換を求めるときの既知座標値の数の検討を行った。結果は次の通りである。 (1)10種類の姿勢について数値実験を行い、奥行き方向の軸をカメラの軸方向と一致させるように、カメラの姿勢を選ぶ時誤差が最小になることが分かった。 (2)8点法と16点法について検討した結果、すべての条件で16点法が優れていることが明らかとなった。上記(1)の条件で20%の改善が、その他の条件では、60%の改善が可能であり、16点法を用いれば、姿勢の依存性を軽減できることが明らかとなった。 2)障害物回避時の手の運動 親指と人差し指の先端そして手首の中央部の3カ所に標点を付け、障害物を回避して目標物体を把握するときの動作を測定し、以下のことが明らかとなった。障害物を回避するときは、障害物の高さに関係なく、親指の位置は障害物の手前約40mm、上面から約70mm上方に高さのピーク値を持つように接近している。そして把握時には親指と手首を結ぶ線分が、対象物中央を回転中心として障害物に接するような角度に傾斜している事が明らかとなった。これらの結果は、人間が手の動きを使ってロボットを制御するとき、特に先端効果器全体の障害物回避において重要な意味を持つものである。
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