人間の手そのものをロボットの遠隔操作のための入力装置とするための非接触3次元計測システムを構築した。この計測システムは、2台のCCDカメラと画像処理装置とパーソナルコンピュータから構成されている。本研究では、人差し指と親指そして親指の付け根に、赤色、緑色、青色の標点を貼付し、その標点の動きを計測することによって、人間の手の動きの3次元計測を行い、遠隔操作用の入力装置として使用できることを確認した。 まず計測の前に、人間の手が動く3次元の実世界と、それらを映した映像の2次元世界の対応をとるために、透視変換マトリクスの要素を求める計測が行われる。この処理は、2台のCCDカメラの位置と姿勢を調節して、人間の手が動く空間全体が両カメラに映るようにし、後は映像に映し出された既知の点をマウスでクリックするだけで済み、その他の計測は不要である。透視変換マトリクスの要素の計測が終了すれば、指定された空間の中で、人間の手を動かすことによって、その動きが自動的に計測され、ロボットを操作することが出来る。 測定精度は次の通りである。測定空間を横100mm、縦60mm、奥行き100mmとしたとき、誤差の平均値は、横方向、縦方向において±0.66mm以下となっている。カメラの設置位置から見た奥行き方向は、±1.1mm以下と他の方向に比べ約2倍程度大きくなっている。また、誤差の標準偏差は、奥行き方向が2.6mmとなり、横方向の約3倍であった。測定サンプリング数は、現在のところ毎秒10回であるが、画像処理過程の改善によってさらに高速化は可能である。
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